恋愛小説ふいんき語り [雑感的]
以前「BAROQUE」というゲームの前史を書くお仕事をしたとき
お世話になった米光一成さん(「BAROQUE」を作った方)が
著者の一人であることと、男性が女性の書いた恋愛小説を読む、
というテーマにひかれて読みました。
とりあげられているのは吉屋信子のクラシカルな少女小説から、
ケータイ小説「恋空」まで時代も内容もさまざまな20冊。
三人のトークやあらすじ漫画で上手に補完されているので、
とりあげられた小説を読んでなくても問題なく一気に読めました。
おもしろかった!
あれですね
こうして並べて読まれてみると、
まったくひとごとじゃないですが、女性の書く恋愛小説って、
お前それどうよ、みたいなめんどくさい女が、
うるせーだまれとさまざまな方法で男を踏み台にしながら
開き直る世界なんですね。
そして、なんだそれと呆れたりこの女うざいと思いながらも、
ちょっと付き合って踏まれてくれる、
女の筋書きに耐えてくれる男が、小説のなかでモテる男。
ああッ自分で書いて胸が痛い!痛いよ!
こんな世界に男性として(ゲーム作家として?)どう向き合うか?
みたいな企画なのですが、私が読んだ印象では、
飯田さん、麻野さん、米光さんの順番で、
リアルな大人の男性らしい反応でした。
ていうか、米光さんは、あとがきにも書かれているように、
「僕が軟弱な男ではなく、恋愛生き残りパワーにあふれる女だとしたら」と
読者を演じるように読まれてたので、リアル男性じゃなかった(笑)
だがそれがいい。
飯田さんがときどき口にする「安い」「陳腐」みたいな
批判に対し、それは大人の見方であって、
この安さが切実なものなんだ(要約)みたいに反論する
米光さんがかっこいーです。そうなのよ!
いっぽうで、女性作家側が提供する「リアル男性像」みたいのに
細かく厳しいのも米光さん。
姫野カオルコさんの「ツ、イ、ラ、ク」を語るところで、
女に対する世の中の幻想を打ち消す魅力を評価するいっぽう、
男について書いてるところは紋切り型、と批判する。
米光 男って「若いころはヤリたいだけですよ」とか言いがちだけど、それ、紋切りだと思うんだよ。それこそ<女が初潮を境に急に変化する>と信じられてるのと同じレベルの言説。エッチなことを全く考えてないとは言わないけど、オレの感覚だと、二〇パーセントくらいじゃないかと。他にも「来週の『チキチキマシーン』はどれが一着か?」みたいなことも一時間くらい真剣に考えてたよ(笑)。オレが淡白なの?
わあ! これを照れずに?言えるところが、
米光さん、小説に出てくるモテ男みたいです。
男の人って(若い)自分のリアルを単純でエッチな三枚目におきたがりがちでしょ、
男性同士だとそれでなんか円滑にする作用があるのかもしれないし、
べつに嘘でもないんだろうけど、そこで落ち着くのつまんない、と
こっそり思うこともあるわけですよ。といってそのへんゼロも困るので、
二〇パーセントは恋愛小説的ベストバランスだと思います。
「恋愛小説ふいんき語り」は、それぞれの作品を語るシメとして、
この小説をゲーム化したらどうなるか、という話になるわけですが、
それじゃあ「恋愛小説ふいんき語り」をゲーム化したら、
と考えると……
……恋愛ゲームでもいいですか?(笑)
プレイヤーはエディトリアルライターで、
攻略キャラはキレ者ゲームクリエイター。難易度高。
締切スケジュールを調整し、彼らに恋愛小説を読んでもらい、
議論に参加し、ナイスな言葉を引き出しつつ、ときには熱くバトルして、
ちょっとずつ好感度をあげていく。
するとそのうち、親しくなった攻略キャラと、
ラブストーリーを共有しながらラブストーリーのような関係に……
うわ「陳腐」ってボツくらいそう(笑)
書き手同士って難しいしね。
本気で全然関係ないけど「BAROQUE」のSTING!さんは
「ユア」の5pb.さんと同じグループの会社なんですね。
あとから知りました。世界せまーい。
プレイヤーが「エディトリアルライター」って設定は
食いつきが悪くないスかw?
「チキチキマシーン猛レース」で誰が1着だと
今日、今の自分は嬉しいか
未だに頭の中で2時間くらい平気で考えてられるってのは
若さの証拠? バカさの証拠?
自分はめんどくさい女、めんどくさい男に
愛しさを感じるけど
踏み台にするのは自分の方、と決めとります。
決心しとるモンは強いスよw
そこんとこ、ちゃんとS。
by ハートのキング (2007-11-20 12:36)
プレイヤーの設定もアレですが
攻略キャラがゲームクリエイターっていう設定が
さらにマズいです(笑)
理屈っぽいし家帰って来ないし会社つ(自粛)
後半はちょっとわからないです
踏み台になる、踏まれる側が自分と決めてるのかな
それとも、自分は相手を踏み台にする側と
決めてるのかな。
どっちにしても自分の役割にこだわる人はたしかにSだと思います。
サーヴィスのSサーヴァントのSの意味含め。
by 清水マリコ (2007-11-21 23:41)
書き方が悪くてごめんなさい。
相手を踏み台にする側が自分、と
決めているのです。
自分が相手から「踏み台にされてるな」と感じても
相手も自分同様、もしくは自分以上に
「ワタシは、オレは、踏み台にされている」
と感じていた、という経験が多く、
だったら常に「自分は他人を踏み台にする側なんだ」と
自覚を持って生きた方がラクだな、と。
役割にはバリバリこだわりますです。はい。
by ハートのキング (2007-11-24 01:43)